「シリアル」
 
死にたいけど死にたくないんでしょ?
生きたいけど生きたくないんでしょ?
悲しいけど悲しくないんでしょ?
泣きながら笑っていたんでしょ?
 
夢も棄てて、迷いも棄てて、よかったね、あとに残るものは何。
 
天使の化石、宝の地図、
おいしいごはん、はちみつの古酒。
 
傷口のガーゼ、引き剥がすように、
君がいない痛みを、忘れたくない。
 
一緒に飲んだ紅茶の中に、
きっと、悲しみが入っていた。
 
憂鬱な春を、君と出会ったことを、
なかったことになんかできないね。
 
どんなに言葉、並べてみても、
君はきっと眼を開けないね。
退屈そうな、指を組む仕草、
眼鏡、握り潰して、血の色の赤。
 
生きたいという衝動のように、
少しだけさむい、ヒカリの中で。
ファルセット、僕の息、続く限り、
そっと載せた帽子で、サンドイッチ。
 
明日の朝にはなにたべよう。
君と一緒にたまごを焼こう。
窓を開けて手紙を待とう。
涼しい夜に君は宇宙を放つ?
 
真冬でもわざと半袖を着た。
風邪ひくよって叱られたくて。
でも君のことは怒りたくなくて、
何度も、何度も、眼を瞑った。
 
悪口さえも、嘲りたくて。
憐れみさえも、罵りたくて。
過ちさえも、慈しみたくて。
 
確かにそこに、
血が流れたならば。
 
 
 

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